業務に活かすオープンデータ ~小売店の場合~

更新日:2023.03.26

お話を聞いた方:株式会社 野嵩商会 電算室 室長 仲里 健司さん

データを活用しようと思ったキッカケは?

フレッシュプラザユニオンでは従来から、商品価格をディスカウントすることでお客さまへのバリュー提供を追求していくという経営戦略を取っていました。

しかし、時代の変化に合わせて変化するお客様のニーズの変化に対応すべく、デジタルを駆使した販売促進の推進策の拡充へと戦略をシフトしています。

その一環で、2022年10月にユニカード(UNICARD)をリニューアルし、その翌月にユニカードと連携したスマートフォンアプリをリリースしましたが、デジタル化して集まった情報を利活用するまでに至っていませんでした。

スマートフォンアプリを使うことで、お客様により便利に店舗をご利用いただけるようにと、デジタル化により収集可能になったデータをどうにかして活用できないか、と考えていたところ今回の事業でのデータの利活用や実証の支援プログラムを知り、参加させていただくこととなりました。

 

リリース以来、多くの方にご利用いただいているスマホ用アプリ

データを活用して明らかにしたかったことは?

ユニカードの登録者の世代別や地域別の保有割合などを把握して、より細かな販売促進施策を検討したいと考えました。

どのようにデータを活用しましたか?

まずは、弊社の保有するユニカードの登録情報から年齢や地域別にお客様を分類し、どの地域にどれだけのお客様がいるのか、沖縄県全体と比較した際のカード保有率はどれくらいなのかということを把握するために「Power BI Desktop」というデータ可視化ツールを用いて、沖縄県などが公開している年齢別の人口データなどのオープンデータと組み合わせた分析を行いました。

今回の実証にあたって、弊社ではさまざまな仮説を立て、その仮説が正しいのかしっかりとデータ検証を行うことで、それぞれの検証結果を販促につながる施策に利用したいと考えております。

データを活用して分かったことは?

実際にデータを可視化して見てみますと、50歳以上70歳までのカード保有率が全体の50%を超えるという会員分布の実態が明らかになりました。当初の予測では50歳代が1番のボリュームゾーンであるとしていましたが、データを視覚化してみると40歳台も含めた幅広いボリュームゾーンがあることが分かりました。会員構成費の男女比なども7:3で女性の方が圧倒的に多いということも、肌感覚で感じていたものと合致します。

では、エリア別の保有率はどうなのか、というとやはり那覇市は人口も多いわけですから保有率が12%程度と低くなっていました。一方で、弊社が店舗を展開していない市町村でユニカードの保有率が15%近くになることもあり、わざわざ遠方よりお越しいただいている状況が分かりました。

そうしたお客様は、自動車でいらっしゃるということになりますので、そうしたお客様の来店が考えられる店舗などは、今より駐車場を拡充するなどして、よりご来店いただきやすい環境整備につなげていく必要もあるかと思います。

そのように遠方からいらっしゃるお客様が、近隣の店舗ではなくわざわざ弊社の店舗をご利用いただくのはどういった理由からなのかということについても、POSデータなどを分析するなどしてしっかりと把握し、例えばお客様がお求めの商品を欠品させることなくいつご来店いただいても購入いただけるようにしていく必要などがあるということなどを、改めて認識いたしました。

グラフ:沖縄県の人口に占めるユニカード保有者

今回得られた結果を、どのように活かしていきますか?

もともと、若年者層(20〜40代)のユニカード登録者が少ないという印象はありましたが、改めて視覚化すると思った以上に少ないということがわかります。今現在若年者層とされる年代のお客様も、10年後、20年後には今のボリュームゾーンと同じ年代になられますし、10年、20年というスパンで考えると、そうした若年者層のお客様のご入会を促進していかなければなりませんし、その裏付けもしっかりと取れたと思います。

また、非出店地域に居住しながらも、ユニカード会員として弊社の店舗をご利用いただいているお客様も多いことから、より深くその背景を掘り下げる取り組みとしてPOSから得られるご購入データを活用していく必要があることもわかってきました。

今までは保有しているデータを活かしきれていなかったのですが、どのようなお客様にどのようなバリューを提供できるのかといったことを、データを活用した施策を行っていきたいですし、そうした議論を社内で活発にしていきたいと考えております。

サービスURL

https://union-okinawa.com/

オープンデータ利用者のコメント

今回の支援を受けてデータを活用して分かること、その利用価値が非常に高いことを認識いたしました。
こうしたデータ活用をそのまま継続して、ご利用いただくお客様により多くのバリューを提供していきたいと考えております。

利用したオープンデータ

住民基本台帳年齢別人口(沖縄県公開データ) 納税義務者数(政府統計ポータルサイトeStat)
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