業務に活かすオープンデータ 【観光/宿泊】株式会社かりゆし
お話を聞いた方:
株式会社かりゆし 経営企画室 マネージャー 嘉数 航さん
データを活用しようと思ったキッカケは?
今後、観光客の増加が見込まれる事で売上増加を目的として宿泊客増加、客単価の増加を図っていくため、自社データの分析のみならずオープンデータを用いて外的影響等を確認する必要がありました。
そこで、まずはイベントデータ(スケジュール)と宿泊人数(自社データ)で相関関係があるか比較しようと考えました。
データを活用して明らかにしたかったことは?
可視化ツールとしてPower BIを活用して、自社データの“宿泊利用実績(人数)“とイベントデータから、沖縄県全体のイベント件数、所在地域、所在エリア(北部)ごとに比較検証をして相関関係があるかどうかです。
どのようにデータを活用しましたか?
外的要因となりうるイベントのデータと宿泊人数を、月別にグラフ化して相関しているか確認してみました。
検証した結果、相関しているような変動が見られました(図1)。さらに、沖縄県全体のイベントデータと宿泊人数から決定係数(R2)を導き出し、相関関係の度合いを調べてみました。
図1 沖縄県全体のイベントスケジュールと宿泊人数
データを活用してわかったことは?
決定係数(R2)は0.08(図2)であることから、実際はイベントデータと宿泊人数は相関していない事が分かりました。
要因として、公開されているイベントデータは各イベントに於ける集客人数等の規模ではなくイベントの個数であり、比較対象が宿泊人数だったことが想定されます。
大型のスポーツイベントなどが開催される場合、宿泊へ影響することはあるので、各イベントの集客数までわかれば、どのようなイベントが宿泊に影響するのか相関関係を分析できると考えています。
図2 沖縄県全体のイベントスケジュールと宿泊人数
結果を今後どのように活かされますか?
今回のイベントデータを使った検証では相関がないという結果でしたが、沖縄県が毎月発表している入域観光客数を使った分析はこれまでもやっています。分析の精度を高めるために年に1回発表されている宿泊施設客室数のデータなども毎月発表してほしいと思います。
今知りたいと思っているのは観光客の動向です。例えば恩納村に宿泊している観光客はどこを経由してどこに行っているか、観光の目的地が分かれば観光客へのサービスも変わってきます。観光客の旅ナカの動向が見える化されるような「人流データ」が沖縄県から情報として発表されると、観光客の行動が読み取れる分析を現状よりしやすい仕組みが構築できるのではないかと考えます。
今後は、さらにDX化が進むにつれて“データ活用“に関する知識や経験が重要視されると思われます。沖縄県としても現状行っているDX推進講座等の継続を要望するとともに、データ分析の専門家がファシリテーターとして、現状の問題のヒヤリングや課題解決に向けた取組みに伴奏してくれるような仕組みがあるとデータ分析をより身近感じることができると思いますので、更なる支援をお願いしたいです。
憶測で分析を行うのではなく、数字を基に根拠立てを行うことでより具体的な議論を行うことができ、課題の本質を見極めるのに近づくと実感しました。
今後も知識とスキルを向上させるべく、様々な角度から分析する客観的視点を持って業務に励んで参ります。