地域の安全に役立つ事故データへ。大同火災のダッシュボード活用実証〖保険:大同火災海上保険株式会社〗

更新日:2025.03.28

 

お話を聞いた方:大同火災海上保険株式会社 あんしん・あんぜん企画推進課 伊波 辰郎さん

                 

データを活用しようと思ったキッカケは?

大同火災海上保険株式会社は、地元沖縄の保険会社として長年事業を営み、特に自動車保険分野では県内で広いシェアを有しています。
一方で、沖縄県内では自動車事故の発生件数が近年高止まりするなか、自動車任意保険の加入率は依然として全国最下位の水準にあり、県全体の課題のひとつとなっています。そうした背景を踏まえ、同社ではまず社会貢献の一環として、事故発生防止に向けた啓発を発信しながら、自社の認知度向上を図り、その先に自動車任意保険の加入率向上にもつなげていきたいと考えました。
その実現に向けて着目したのが、自社が保有する事故データです。社内に蓄積されたデータを、単なる内部資料として保有するのではなく、地域に役立つ情報として発信できないか――。そうした発想から、取引先への提供や自社アプリ「DAY-GOなび」への掲示も見据えつつ、まずはプロトタイプとしてPower BIを活用したダッシュボードづくりに取り組みました。

使ったデータを活用して明らかにしたかったことは?

今回の取り組みでは、単に事故件数を示すだけでなく、事故がどのような状況で発生しているのかを、より具体的かつわかりやすく伝えることを重視しました。

具体的には、以下のような観点から情報を整理しました。

1.事故件数の全体像
2.事故発生地点における道路態様、事故対象、事故原因などの詳細な事故関連情報
3.個人特定につながるおそれのある保険金額は非公開とすること
4.天気やイベント開催情報などのオープンデータを掛け合わせ、事故発生時の現場状況を多面的に捉えること

事故データそのものに加えて、外部データを組み合わせることで、「どこで事故が多いか」だけでなく、「どのような条件下で事故が起こりやすいのか」を伝えられる構成を目指しました。

使ったデータはどのようなものですか

活用した主なデータは、同社が保有する事故データです。年間約1万件にのぼる事故情報のうち、事故発生地点、道路態様、事故対象、事故原因など、事故の傾向を読み取るために有効な項目を選定しました。
加えて、独自性を高めるために、天気に関するデータやイベント情報などのオープンデータも活用しました。これにより、事故データ単体では見えにくい背景情報を補完し、より実態に近い形で事故発生状況を表現できるようにしています。

なお、事故規模を示す保険金額については、個人特定のおそれがあることから公開対象には含めていません。

画像:Web情報からまとめたもの

どのようにデータを活用しましたか

今回の取り組みでは、実証支援の一環として、Power BIを用いたダッシュボードを作成し、沖縄オープンデータプラットフォーム上で公開しました。
[ダッシュボード]
自動車保険にみる沖縄県の自動車事故の状況(2021~2023)

特に意識したのは、「他社にはない見せ方」です。自社事故データに、気象データやイベントデータを掛け合わせることで、事故発生状況をより立体的に捉えられるダッシュボードとし、一般の方にも関心を持ってもらいやすい内容に仕上げました。

また、公開だけで終わらせず、事例発表会で登壇し、実証の成果報告とあわせて紹介を行いました。
成果の確認については、Googleアナリティクスを活用し、実際にどの程度閲覧され、どのような反応があったのかを分析できる体制を整えました。

データを活用して分かったことは?

今回の取り組みを通じて、自社が保有する事故データは、地域への注意喚起や事故防止啓発につながるだけでなく、企業の認知向上にもつながる可能性があることが見えてきました。
2025年2月7日に事例発表会を開催した後の閲覧状況を見ると、ダッシュボードはアクティブユーザー率(アクティブユーザー÷表示回数)が60%を超えており、閲覧した方がしっかり内容を見ている傾向が確認されました。これは、タイトル設計やテーマ設定が的確であったこと、また掲載内容への信頼感が閲覧者のニーズに合っていたことを示す結果といえます。

反響の面でも、取引先からの評判は良好で、一般ユーザーからも取引店を通じて好意的な声が寄せられました。さらに、新聞社から取材依頼があり、2月14日には紙面掲載が実現。そのWeb記事でも4,000件を超える閲覧があり、好評コメントが寄せられるなど、大きな反響につながりました。3月3日には正式に自社ホームページにも掲載され、情報発信の幅がさらに広がっています。

琉球新報:沖縄で事故が多い場所は?時間帯・原因は?1万件のデータから「マップ」公開へ[2025年02月14日]
https://ryukyushimpo.jp/economics/entry-3962876.html
事例発表会:見える化から実践へ!データを行動に変える第一歩[2025年02月07日]
https://odcs.bodik.jp/okinawa-dpf/usecase/2503/

今後どのようにデータ活用を推進されますか?

今後は、自社アプリ「DAY-GOなび」への掲示も視野に入れながら、ツールとしての活用方法をさらに検討していく予定です。

また、取引先を中心に現在のツールを案内しながら、事故発生防止の啓発という社会貢献と、自社の認知度向上の両立を進めていきたいと考えています。

 

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