開封率の差はどこから?既存利用者に刺さるDM改善のヒント【金融:OCS】

更新日:2025.03.27

お話を聞いた方:株式会社OCS 営業統括部 営業企画課 石井 柊太朗さん

                 

データを活用しようと思ったキッカケは?

当社では近年、「会員数の目減り」と「取扱高の伸び悩み」という2つの課題に直面していました。会員数は、長期未利用会員のカード停止や、脱会が新規入会を上回ることなどが背景にあり、取扱高も会員数減少や物価高の影響を受けていました。
当初は、将来的に長く利用してもらえると期待した「若年層」の入会・利用促進に軸足を置きました。20代会員が年齢構成比で約12%と少なく、取り込みが急務だと考えたためです。

しかし内部分析の結果、年齢層別に見ても主要取引の件数に大差がないこと、またキャッシュレス決済の多様化など環境要因もあり、短期的に若年層のロイヤリティ獲得は難しい(即効性が見込みにくい)という判断に至りました。

使ったデータを活用して明らかにしたかったことは?

目的を見直し、「コア層の獲得」を再設定しました。40代~60代の会員層が厚く、利用単価も年齢に比例する傾向が内部分析から見えたため、長期戦になりやすい若年層よりも、壮年層以降の獲得が目標達成の近道だと考えたからです。

また、分析対象の商品を「ローンカード(及びキャッシング)」に絞りました。壮年層以降の利用が顕著である一方、どの年齢層でも利用促進・新規利用が課題であり、今回の目的と合致していたことが決め手になりました。

・ローンカード(キャッシング)の利用を「新規に増やす」ための打ち手は何か
・DM施策は“見られている”のか(興味喚起ができているのか)
・人口統計など外部データと突合したときに、地域別の傾向は見えるか

使ったデータはどのようなものですか

ローンカード(及びキャッシング)の利用促進では、恒常的にDMハガキ施策を実施しており、①未利用会員・新規会員向け(新規利用施策)と、②既存利用者向け(継続利用施策)の2つを展開しています。まずは外部データを使う前段として、施策ごとの効果検証を行いました。
効果検証では、外部のアクセス追跡サービスを用いて、DM内の二次元コード(QRコード)の遷移を確認し、「DMが見られたか」を把握しました。
分析には総務省の人口統計データを使用しました。

データを活用して分かったことは?

全体として開封率は当初想定の1%を下回ったものの、既存利用者向けは2.1%と相対的に高く、「既に利用している会員はDMを開封(興味を持つ)しやすい」傾向が見えました。さらに開封者のキャッシング利用率は26.1%と比較的高く、興味喚起が利用につながる可能性が示唆されました。

DM施策の効果検証(開封=QR遷移)

施策 発送件数 開封件数 開封率
未利用会員・新規会員向け(新規利用施策) 3,868件 16件 0.4%
既存利用者向け(継続利用施策) 336人 7件 2.1%

どのようにデータを活用しましたか?

上記の検証結果を踏まえ、「DMなどの広告物に工夫を凝らすことで、申込件数や開封率(ヒット率)に反響があるのではないか」という仮説を置き、ビッグデータを活用した分析に進みました。

具体的には、総務省の統計データ(人口統計)と、自社のローンカード申込実績(2024年10月~2025年2月)を市町村別に突合しました。その結果、会員層・利用者層は人口分布と概ね比例している一方で、ローンカードの申込実績では宜野湾市と浦添市の件数が逆転していることが分かりました。

  • 2月単月では、浦添市7件に対して宜野湾市17件と差が見られた
  • 当社のオートローンでも宜野湾市の利用が比較的多く、利用顧客層が似ている可能性が示唆された

この結果から、年齢軸だけでなく「地域(地理)」を起点にしたアプローチが有効になり得る、という新しい視点が得られました。

市町村名 2025年人口統計データ ローンカード申込件数
(24年10月~25年2月現在)
那覇市 317,625人 136件
沖縄市 142,752人 64件
うるま市 125,303人 57件
浦添市 115,690人 44件
宜野湾市 100,125人 45件

今後どのようにデータ活用を推進されますか?

これまで年齢軸でのアプローチを検討してきた中で、今回の分析により「地理的要因」という新たな切り口が見えました。今後は地理的要因を活かせるポスティング施策を順次進め、配布前後のヒット率分析を通じて、潜在顧客獲得の糸口を探りながら取り組みを継続していく方針です。

さらに、申込だけでなく利用状況や脱会状況も含めた地域分析を行い、会員獲得と脱会抑制につなげる考えです。加えて、地理以外にも気候などの外部データ活用(例:梅雨時期の購買行動を踏まえたキャンペーン時期設計)も視野に入れています。

壮年層の獲得・利用促進を主軸にしつつ、中長期では若年層の取り込みも進め、多角的なデータ活用で持続可能なマーケティング施策を目指していきます。

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