「感覚」から「根拠」へ──地域データを活用して新入生徒3割増!生徒募集に向けたチラシ配付方法【教育:ふたばそろばん教室】

更新日:2025.03.31

 

お話を聞いた方:ふたばそろばん教室 室長 金城 陽子さん

                 

データを活用しようと思ったキッカケは?

浦添市前田にある「ふたばそろばん教室」は、下は未就学児から上は中学生まで、およそ100人の生徒が通っています。これまで生徒募集の方法は、「印刷したチラシをスタッフで手分けして近隣住宅へのポスト投函」でした。
これといった根拠もなく、ひたすら印刷したチラシを配布するだけでしたが、周囲にはどんどん学習塾が開校し、生徒募集も難しくなると思いはじめ、もっと上手に生徒募集ができないか悩んでいたため、ISCOへ相談したのがキッカケです。

データから明らかにしたかったことは?

まずは環境を再認識するため、

①浦添市の字別の人口(年齢別、性別)

②学習塾の位置

③学校の位置

を明確に把握したいと考えました。

あとは、

④当教室に通う生徒の情報を整理し、どの字区(エリア)から多く通っているのか

⑤なぜ当教室に通っているのか

なども併せて明確にしました。これらをデータで確認することで、重点的に募集をかけるべき地区やタイミングなど、生徒募集の方法や今後の方針について検討する材料としています。

どのようなデータを活用しましたか?

外部環境に関するデータは全てインターネットで公開されているものを収集しました。具体的には、浦添市の人口統計データ(字別/年代別/性別)を5期分、浦添市の公式HPから学校の位置情報は入手できました。そのほか、周辺の学習塾の情報も収集しました。これに、教室の生徒情報をデータ化(エクセル)して活用しました。

データを活用して分かったことは?

改めて当教室を取り巻く環境について、明確になりました。まず人口統計データをダッシュボード化して見える化しることで、募集対象となる年齢層が多い地域や、増加(減少)している地域を簡単に把握することができ、募集エリアの選定がしやすくなりました。

 

画像:Power BIで作成したダッシュボード(レポート1) 字別年代別人口推移(5年)

 

また、地図に落とし込んだダッシュボードでは、生徒分布に加えて、字別の対象年齢層の分布や増減を視覚的に把握することができました。
教室に通う生徒は、教室が立地する浦添市前田(図の左上のマップ:青色が濃い地区)を中心として分布しています。一方で、周辺の人口分布を確認すると、比較的近隣かつ対象となる年齢層が多い地区であるにも関わらず、教室の生徒がいない地区があることが見えてきました(図の右上のマップ)。このように、面で周辺のデータを見ることで、より重点的に募集すべきエリアが把握できました。

画像:Power BIで作成したダッシュボード(レポート2) 字別年代別人口分布

 

加えて、学習塾や小中学校のデータを地図に落とし込んだダッシュボードも作成しました。
浦添市では、小中学校の半分が県道330号を境に西側、国道58号線と県道330号線の間に両道路に沿う形で位置しています(緑の四角で表示)。一方、教室のある中央及び東側については比較的広範囲に点在しています。
こうした傾向を再認識したうえで、当教室の生徒が通う小中学校がどこまでか可視化(赤の円で表示)したことで、募集エリアを選定する参考としました。

 

画像:Power BIで作成したダッシュボード(レポート4) 学校MAP

 

学習塾を落とし込んだ地図からは、小中学校と同様の立地傾向が見て取れました。特に当教室の周辺に着目すると、教室の東及び南のエリア(青の四角)には比較的学習塾が少ないことがわかりました。。同地区は他学習塾の影響の少ないエリアとして、募集エリアを選定する際の参考となりました。

 

画像:Power BIで作成したダッシュボード(レポート3) 学習塾MAP

 

更に、教室の生徒情報を整理したところ、1点気づいた点がありました。それは教室へ通い始める時期に波があることです。利用開始時期をまとめたレポートを確認すると、新年度が始まる4月を最大のピークとして、6月、11月、1月、3月など波があることがわかりました。
このタイミングを考慮して募集活動を実施することで、効果があるのではないかと考えました。

 

画像:Power BIで作成したダッシュボード(レポート5) 月別利用開始生徒数

 

これらの結果を踏まえ、生徒募集の取り組みを一から見直しました。
まず、募集チラシを配布する対象範囲については、レポート4の小中学校の地図から、330号線の以東、かつ、これまで教室の生徒が在籍した学校の円範囲を前提としました。続いてレポート2の生徒MAPから実績のないエリア(西側:沢岻 北側:安波茶)と、レポート3の学習塾地図(東側:西原)を参考に、新たなエリアを3つ選定しました。さらにレポート2の人口分布から、対象年齢の多いエリア(仲間、経塚)を重点エリアとして選定してます。
チラシの配布枚数についても、各選定エリアの世帯数を根拠に決め、重点エリアは世帯数の約70%、その他は50%を目安に、配布しようと考えました。
配布時期については、通い始める時期のピークである4月にあわせて実施しました。

その結果、根拠なくチラシを配布した前回と比較し、大きな成果を得ることができました。具体的には、重点エリアに設定した2エリアは、前回の募集からそれぞれ1割程度新入生徒が増加しました。また、新しく配布したエリアからも、新入生徒を迎えることができました。その結果、全体としては新入生徒が約3割増加という成果につながりました。
その一方、教室が立地する前田エリアが前回を下回った点や、新しく配布した3エリアのうち2エリアからの申込がなかった点など課題もありました。

 

画像:Power BIで作成したダッシュボード エリア別新入生徒数

今後どのようにデータ活用を推進されますか?

今回、同じチラシの配布でも、データや情報をしっかり活用することで、いい成果につながることを実感しました。今後もこの手法を継続しつつ、前回を下回ったエリアの分析や、新しく配布を行ったエリアの反応が低かった点も考えながら、チラシの内容や配布方法、募集時期の見直しをしていきたいと思います。

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