データを活用してカーボンニュートラル時代を生き抜くフルスタンドへ【燃料:平良給油所】

更新日:2024.03.18

お話を聞いた方:株式会社平良給油所 代表取締役 比嘉 公一さん

データを活用しようと思ったキッカケは?

当社は1975年に設立した豊見城市のガソリンスタンドです。給油をはじめ、窓ふきや灰皿掃除、タイヤの空気圧チェックなど、すべてのサービスをスタッフが行い、「お客様の車を快適に、安全に」をモットーとするフルスタンド(フルサービススタンド)です。

取扱商品は、中心となるガソリンや軽油、灯油の燃料販売・給油のほか、タイヤ、オイル、バッテリー、ワイパーの販売と交換、また、洗車と車内清掃です。

昨今、安価に給油できるセルフスタンドが台頭し、全体の3割以上を占めるまでになっています。

しかし、全体を俯瞰すると、車両の燃費性能向上やハイブリッド車等の普及によるガソリン需要の減少、後継者不足、法改正に伴う設備投資費を理由とした撤退等により、全国のガソリンスタンドは減少しつつあります。

また、2050年のカーボンニュートラルに向けたグリーン成長戦略によって、ガソリン以外への燃料転換が進めば、ガソリンスタンドはさらに減少します。

ガソリンスタンドの置かれた厳しい状況はこれだけでありません。コロナ禍以降の激しい燃料価格の高騰により客足は遠のき、当然のごとく当社も売上が減少しました。これは給油以外の取扱商品も同様です。

当社が生き残るためにどうすればよいのか?そればかりを必死に考えていました。そこに、県の事業でデータ活用の実証支援プログラムがあることを伺い、もしかしたら当社で眠っているデータを活かせば道が拓けるのではないかと考え、取り組みました。

写真:すべてのサービスをスタッフが行う安心のフルスタンド

データから明らかにしたかったことは

フルスタンドはお客様の車を相手とするビジネスです。車は道路を走るものですから、必ず天候の影響を受けます。そこで、売上データと気象データを比較すれば、取扱商品の「何がいつ売れているのか?」ということを可視化できると考えました。売上の中心は燃料販売ですが、燃料以外の販売状況が掴めれば、適切なタイミングでお客様へサービスの提案が行えます。

使ったデータはどのようなものですか

当社の売上データ(2022年1月~2022年12月)と、気象庁のWebサイトで公開されているオープンデータ「過去の気象データ(2022年1月~2022年12月/那覇地点、沖縄オープンデータプラットフォームからも利用可能 https://data.bodik.jp/dataset/okinawa-dpf_kishou)です。

当社の売上データは紙媒体で保存していたものでしたので、今回を機に、エクセルに入力して電子データを作成しました。 

データから何がわかり、どのような取り組みにつなげましたか

今まで売上全体の推移は見ていましたが、今回、BIツールを使って可視化することで、商品ごとの推移を確認することができました。特に天候の影響が大きいと考えられる、バッテリーと洗車、ワイパーについては新たな気づきがありました。

画像:天候の影響が大きい取扱商品に着目して分析

バッテリーは10月と11月に販売数量が伸びていることが分かりました。夏の長い沖縄は、バッテリーの平均寿命はおおよそ2年~3年となります。夏場のエアコン使用で酷使されたバッテリーが10月、11月ごろに寿命を迎え、交換に至ることがわかりました。

洗車は雨天の多い月ほど減少することがわかりました。梅雨時期の6月に洗車が少ないことはわかっていましたが、2022年は5月の降水量が6月よりも高かったことから、5月は特に洗車のお客様が減少していました。

ワイパーについては、雨天の多い月、つまり梅雨時期の交換が多いと思い込んでいましたが、データ分析から2月~4月に多いことがわかりました。あらためてこの時期の沖縄の気象状況を調べたところ、黄砂の飛来時期と一致していました。フロントウィンドウに付着した黄砂をワイパーで拭う際に、拭き跡の線が残ることで、ワイパーの劣化に気づいて交換することがわかりました。

写真:思い込みによる販売施策ではなく、データ分析による最適な販売施策が考えられるワイパー

取扱商品の何がいつ売れているのかが分かった今、次はこれをいかに活用していくかを考えました。適切なタイミングでお客様にサービスを提案すれば売上の増加につながります。そのためにはお客様へ直接アプローチできるツールが必要です。

ここで、2020年11月に開設していたLINEの公式アカウントの利用を思いつきました。LINEであれば、ダイレクトなプロモーションが行えます。アカウントのアプローチ対象は、既存のお客様と、まだ当社を利用していない潜在的なお客様です。燃料価格の高騰で離れていったお客様も呼び戻すとともに、さらにアカウントの友達を増やしたいと考えています。

今はちょうど2月、黄砂の影響によりワイパーの交換需要が高まるタイミングです。LINEの中で「友達を紹介すると給油割引クーポンが貰える」といったキャンペーンを展開して友達を増やし、そこへデータ分析の結果に基づき、需要が高まる時期に合わせて各商品の販売・案内を強化しました。結果としての数字はこれからとなりますが、自信を持って取り組んでいます。

写真:平良給油所のLINE公式アカウント

今後どのようにデータ活用を推進されますか

冒頭でお話したガソリンスタンドの置かれた厳しい状況の中、これからはフルスタンドの存在意義が問われる時代になると考えています。とりわけ売上の中心となる燃料販売・給油は、セルフスタンドとの厳しい競争になると思います。セルフスタンドに対するフルスタンドの優位性とは何か。それは専門スタッフがお客様の車に対して適切なサービスやメンテナンスが行える点にあると思います。そのためにも、今回のデータ活用を通して見えてきたことを全社員で確認できたことは、とても有意義なことでした。

これを絶やすことなく継続していけば対前年比較もできるようになります。そうすれば取り組んだ成果がおのずと見えてきます。成果が見えると社員の自信につながります。

今後の展開の可能性として、利用頻度の高いお客様ごとに「車のカルテ」を作成し、データ活用と連携させれば、お客様の車をベストコンディションに保つこともできます。

車の状態を見ることができるのは人間だけですから、「お客様の車のドクター」として、「平良給油所に任せれば安心だね」というフルスタンドでありたいと考えています。

写真:平良給油所の取り組みについてお話していただいた比嘉さん

サービスURL

https://www.taira-kyuyusyo.com/

オープンデータ利用者のコメント

現場の経験よる勘は、ときに思い込みとなることがあり、現実と乖離している可能性があることを、あらためて今回のデータ活用で知ることができました。正直なところ、紙媒体として保管していた売上情報等のデータを集めることに苦労はしましたが、データの分析と検証、そして活用が、こんなにも当社のビジネスに大きなヒントとチャンスをもたらしてくれるとは思いもしませんでした。やって良かった、この一言に尽きます。

利用したオープンデータ

過去の気象データ(気象庁) 過去の気象データ(沖縄オープンデータプラットフォームからも利用可能)
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