電力使用量の見える化・コントロールで、電気料金を削減【不動産管理:沖縄産業振興センター】

更新日:2024.03.18

お話を聞いた方:

株式会社沖縄産業振興センター 事業統括部サブマネージャー 営繕業務等担当 塩真 孝彰さん

データを活用しようと思ったキッカケ、明らかにしたかったことは

2023年6月から電気料金が値上がりすることで、施設全体の請求額が1.2倍に増加することを懸念していました。

例年、空調が稼働する夏場に電力需要が増大し、デマンド値(需要電力を表す値。電力会社と契約を交わす際の基準となる)が高くなります。

2022年以前は6月から9月にかけてデマンド値が520kWを超えることがあり、電力会社と契約の増額変更を協議していました。

電気料金契約は年間で最も高いデマンド値を参照して締結されるため、電気料金を押さえるためには、夏場の最大需要電力を抑える必要があります。

そこで、2023年3月に施設全体の電力使用状況を常時監視でき、空調設備の遠隔管理で最大需要電力を抑える「デマンドコントローラ」を導入し、4月からデマンド値の測定を行ってきました。

最大需要電力削減の要となるデマンドコントローラ

写真:最大需要電力削減の要となるデマンドモニターとデマンドコントローラーをチェックする塩真さん

デマンドコントローラを導入してから、蓄積されているデマンド値のデータを活用できないか考えるようになりました。具体的には、電力利用の多い日と少ない日の要因がデータから分かれば、電力使用量を効率よく抑える取組について検討できるのではないかと思いました。

使ったデータはどのようなものですか

デマンド値と気象には関係がありそうだと思い、オープンデータとして気象庁が公表し、沖縄オープンデータプラットフォームにも掲載されている過去の気象データ(2023年4月~9月末まで、那覇の気温、降水量、湿度)と弊社が保有するデマンド値データ(2023年4月~9月)を比較して相関関係を見ることにしました。

どのようにデータを活用しましたか?

Power BI Desktopという無料でも使えるBIツール(データを可視化し、簡単に分析できるツール)を使用してデマンド値の推移を可視化することで、データの特徴を把握しやすくなりました。

実際に電力の利用状況データをグラフ化した結果、7月に最大で501kWのデマンド値が計測されていることがすぐにわかりました。また、全体的な傾向として、入居企業や会議室の利用が多い平日の日中に高いデマンド値を示しており、休日には200kW以下になっていることが確認できました。

デマンド値と気象データの分析では、気温との間にかなり強い相関があり、気温が高くなるにつれてデマンド値も上昇していることが明らかになりました。一方で、降水量と湿度はほとんど相関がないことが確認できました。

デマンド値と気象データの相関を表したグラフ

画像:デマンド値と気象データの相関を表したグラフ

全体的な傾向や、デマンド値と気温・降水量・湿度の影響が見えてきたことで、これまで少しずつ行ってきたデマンド値の上昇を抑える取組を、エビデンスに基づいてより効果的に実施していく道筋が見えてきたことから、電力会社との契約電力の見直しに臨むことができました。

その結果、2023年11月から契約電力を下げることができ、電気使用料金は前年度より8%減少する見込みです。

結果をうけ今後どのようにデータ活用を推進されますか?

お話を聞いた方:株式会社沖縄産業振興センター 事業統括部長 玉那覇 正美さん

デマンド値の効果的な管理により、電力使用量を削減可能なことが確認できました。

日照時間や他にも影響を与えているものがないか検証しながら、気象条件等が電力利用に与える影響をより理解し、電力の効率的な利用やコスト削減に向けた戦略を検討していきたいです。

また、沖縄産業支援センターの今後の展望として、売上高や収益力の維持向上、財務基盤の強化を図りつつ、修繕や設備投資などによる長寿命化対策を実施する予定です。達成に向けて、入居企業や会議室利用者の顧客満足度向上、意思決定の迅速化・正当化を重視し、データ活用に効果的に取り組んでまいります。

データ同士のつながりや因果関係を正確に分析し、それに基づいて現状の課題を抽出し、改善策の立案に活かしていくことを検討したい。データを活用することで、ビジネスプロセスの最適化や戦略的な意思決定の判断の根拠とし、組織全体の効率性を向上させていきたいです。

空調室外機まで案内していただいた塩真さん

写真:空調室外機まで案内していただいた塩真さん

サービスURL

https://www.okinawa-sangyoushien.co.jp

オープンデータ利用者のコメント

今回の支援を受けてデータを活用して分かること、データの可視化が有効であることやその利用価値が非常に高いことを認識いたしました。

利用したオープンデータ

過去の気象データ(気象庁) 沖縄県気象データ(沖縄オープンデータプラットフォーム)
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