オープンデータと自社データを掛け合わせて自社の強みを見つめ直し、新規顧客獲得につなげる 【観光/宿泊:ザ・ビーチタワー沖縄】
お話を聞いた方:株式会社共立メンテナンス ザ・ビーチタワー沖縄 マネージャー 平安山 智さん
データを活用しようと思ったキッカケは?
コロナ禍で離れてしまった人材が多く、セールスやマーケティングをはじめ、新規開拓に向けたデータ分析の取組みなど、様々なアクションの必要性を感じていました。まずはこれらの課題に沿い、データを可視化して現状を知りたいと考えました。
データから明らかにしたかったことは?
当ホテルに宿泊するお客様がどの都道府県から来ているのか、現状を見える化して把握したうえで、沖縄に来る観光客全体と比較した際に差があるのか否か、あるのであればその理由は何かなどを明らかにしたかったです。
使ったデータはどのようなものですか
当ホテルが保有する都道府県別顧客データ(人泊数、室数、同伴係数)に加えて、比較対象となる沖縄県全体の観光客の情報として、OKINAWA DPFに掲載されているオープンデータ「航空旅客輸送実績」の令和4年度分を使用しました。
写真:オープンデータの活用に積極的な平安山さん
どのようにデータを活用しましたか
今までは首都圏からのお客様が多いため首都圏を中心にアプローチしていましたが、分析結果から、当ホテルは中部地方からのお客様の割合が県全体の水準に比べて高いことがわかりました。
画像:人泊数と輸送実績を比較したグラフ
中部地方からのお客様は、プロ野球の球団キャンプに併せてお越しいただいているケースが多いと考えていましたが、データを分析すると、キャンプに関係なく、年間を通して高い割合でお越しいただいていることが分かりました。
そこで、時期やタイミングを見計らい、中部方面のお客様へ効率良くアプローチすることができるように取り組みました。
旅行代理店のツアー造成も中部地方を強化する決め手となりました。リピーターの確保はもちろん、支店からの新規団体を獲得するための活動にも力を入れ、来年のキャンプシーズンの予約は、人泊数が対前年比184%で推移しています。
また、新規プランの販売促進のためにメールマガジンの配信を夏場に再開しましたが、その際にOTA(オンライン トラベル エージェント)において、地域ごとに内容を吟味したメールマガジンの配信に活用することができました。自社ホームページのPV数は月間で3000~4000ですが、そのうち約1%が予約に繋がっています。
このように、年間を通したセールススケジュールや施策を明確にすることができるようになり、併せてOTAや旅行代理店を担当するスタッフが、各発地の取り込み目標などを具体的に共有できるようになったことで成果が上がっていると感じています。
写真:日々のオペレーションにBIツールは欠かせない
今後どのようにデータ活用を推進されますか
過去のデータを元に営業スケジュールを立て、どの販路でどうやって販売していくかを決めることは必要なことです。これまでは社内のデータ分析に留まってしまうことがほとんどでしたが、オープンデータという別の評価軸を入れることで、目標設定がより明確にできました。また、中部地方のお客様から年間を通して選んでいただいているということも見えてきましたので、その理由なども更に掘り下げて追及していきたいと思います。
お客様の動向は常に変化します。今回の分析結果を現状における動向の基準と捉え、コロナ禍後にどのように変化していくかを見据えつつ、オープンデータを軸にセールスを展開していきたいと考えています。
写真:お話ししてくれた平安山さん
当ホテルでも様々なデータから分析を試みていますが、今回のデータ活用を経て、沖縄を訪れるお客様について、より細かく、そして深く分析できれば良いと考えています。